主を失ったカツラについての記録|プロフィットLLC

顧客哀悼で向き合ったこと


ある高級カツラオーダーメイド依頼から製作、その後

高級カツラをオーダーメイド依頼されました。申込金を預かり、時間をかけて完成。約束の通りの納期で完成し連絡を入れたが、返事はありませんでした。不在が続き、2か月近く経ったころに一本の電話がかかってきた。

電話口の声は、たどたどしい口調で「初めて電話しましたXXXのXXXです。」「XXXが亡くなってしまい遺品から御社の申込金1万円受領証と残金額が財布に・・これは何ですか?」憔悴しきった口調で不安を訴え、それ以上の言葉は続きませんでした。


その瞬間、言葉に出たこと。

「心配なさらないでください。」そして故人との関係を少し語り憔悴したご家族を労わる言葉で終始して電話を切った後の現実として、高級品にかかった高額な製作費のこと。当社規定に基づけばいくらでも整理できる材料はあった。仕事と割り切れば。けれど、その電話の向こうは「契約相手」ではなく、何も知らず不安を訴える家族だった。


出てきた言葉は損得ではなかった

申込受領の経緯を説明する前に、先に口をついて出たのは、「残金は結構です」だった。後から考えれば、規定に基づき整理して話す方法もあった。その時それ以上の言葉を重ねる気になれませんでした。


原価さえ戻らない

ご本人以外しか使えない1点物の高級カツラ。自然さと快適さを生む先端技術もふんだんに取り入れ、使った原毛は最高級品。設計、型起こし、ベース製作、植毛他何人にもの職人が関わって仕上がったカツラは故人にとって必ず満足いただけるはずの出来栄えだった。入金総額1万円。けれど、この出来事を「失敗」という気にはなりませんでした。人生最期まで当社製品を利用してくださったという点で言えば「成功」であるが、きれいごとでもある。

商売失格者である

完成したオーダーメイドカツラは上等な出来であった。何よりも楽しみにしていた本人が手にできない無念。「また良いカツラを頼む」その言葉からわずか2週間あまりで事故死されていた。それも知らず顧客が喜ぶいつもの笑顔を思い浮かべて製作工程は進んでいた。星の数ほどある同業者の中から30年以上にわたって当社を最後の砦としてきて人生最期まで当社カツラに信頼を寄せる方々。損得よりも顧客への敬意のほうが勝った己を知る機会の出来事でした。契約条項に基づかず「残金は一切結構です、心配なさらないでください」完全に商売失格者である。

亡くなったあとまで、その人の人生の一部に、商売の理屈を差し込む気にもなれませんでした。


当社を選ぶ方への敬意

相談者には唯一の選択肢をお届けしてます。専業37年の技術者が、これ以上の選択肢があるの?というところまで追込むため、それでも他の選択肢を選ぶ方には本当大丈夫?と危惧しつつ放します。


この仕事で、何を大切にしているのか

当社は、カツラを売っているわけではないし技術だけを提供しているわけでもありません。顧客の声には「本来あるべき体の一部がない、あって当然の髪」と表現する方も。確かなカツラを使って一人一人が希望に満ちた変化、生活の質の向上のために引き受ける仕事をさせていただいてきました。今回の判断はその姿勢から外れるものではなかった。


当社が「すぐ売らない」理由

初めて相談される方から、驚かれます。「売り込まれませんね」「それでやっていけるの」「今日は決めなくていいと言われて戸惑いました」それには、はっきりした理由があります。


当社の仕事は「売るけど売ること」ではありません

カツラは、人生の一部に深く関わるものです。カツラを買わないほうがいい人、カツラ屋に行かないほうがいい危なっかしい人もいます。その判断をします。合う・合わないを軽く決めていい商品ではありません。

だから当社では、「売る前に、判断する」ことを仕事にしています。

・本当に今、必要か
・この選択が後悔につながらないか
・数年先まで見て、無理がないか

それを整理するのが、当社がする最初の役目です。


すぐ決めなくても、大したことない

相談の場で、その日に結論を出してもらう必要はありません。「今日は決めないほうがいい」とお伝えすることもあります。無理な判断をさせないためです。


当社が引き受けているのは「結果」

技術や素材の説明は、必要最低限にしています。言っても理解できません。なぜなら、お客様が欲しいのは「方法」ではなく、カツラやヘアケアによるその先の安心や納得だからです。

・自然に見えるか
・周囲に気づかれないか
・長く使い続けられるか・費用負担など

その結果に当社は責任を持てるかどうか。そこだけ見ています。「御社は選択肢をくれる」実際に聞く言葉です。


向いていない場合は、お断りします

当社のやり方が、すべての人に合うとは思っていません。

・とにかく安さを最優先したい方・情報オタクの方・新商品が好きな方・すぐ注文したがる方
・短期間だけ使えればいい方・疑い深い方・他客に迷惑な方・判断を急ぐ方

こうしたケースは、他社様経験の新規様に見られますが別の選択肢をおすすめすることもあります。それは冷たい対応ではなく、当社と無理に関係を作らないという判断です。「どうでもいいんだけどさ、それでやっていけるの?」といった捨てゼリフを聞くことがあります。

だから、相談は深くてもかまいません

当社への相談は、

・長年悩んできたこと
・他でうまくいかなかった理由
・家族に言えなかった不安

そうした話を含めて、一緒に整理する前提で向き合っています。


決めるのは「売る側」ではありません

勘違いは「店の言われるがままに決める人」当たり前のように新規相談者に見られます。最終的に選ぶのは本人なのに”強め”の専門店に任せてしまった結果が、当社に行き着いておられます。また失敗されないように当社は「判断材料を整え出す役割」までは引き受けます。決めるのは本人で、自分で決められない選択はやらないほうがいいのです。


ご相談について

当社では、
・写真による事前確認
・来店前の相談整理
・必要性の見極め

こうした段階を大切にしています。

無理に進めることはありません。
納得できる形かどうか、一度整理したい方だけで大丈夫です。


▶ ご相談をご希望の方へ
状況を拝見し、当社が向き合うべき内容かどうかを含めてお返事します。

これは己が当社を知る機会となった

プロフィットLLCがどんな仕事をしてきたのか?どこまでを商売として、どこからを人として仕事をしているのか。それを確認できた出来事でした。